なりたてオジサン司書の日々葉々

30歳過ぎて脱サラからの司書になったオジサンの日記です。司書課程のレポートや、あとは趣味のアレコレを書いています

図書館情報資源概論レポート「ネットワーク情報資源とはなにか(中略)述べなさい」

図書館情報資源概論「(1)ネットワーク情報資源とはなにか、(2)公共図書館が提供しているネットワーク情報資源の事例や特徴を述べるとともに、(3)今後の収集の在り方や課題についても述べなさい」

 

1 ネットワーク情報資源とは何か
 情報資源とは、必要な時に利用できるように何らかの方法で蓄積された情報や資料のことを言い、図書館では図書館資料として主に本という形で収集され、保管されていた。しかし、コンピュータの発達やネットワークの普及により、デジタル媒体で資料を収集する方法も取られるようになってきた。ネットワーク情報資源とは、図書館情報学用語辞典によれば、インターネットを基盤とする、コンピュータネットワークを介して探索、入手、利用可能な情報資源。ウェブ上に公開されている各種ファイルに加えて、ウェブページ、電子掲示板、ブログ、SNS検索エンジン、電子メールなどを含む。と定義づけられている。
 図書館では2008年の図書館法改正により、電子資料が図書館資料として明示され、物理的形態のある電子資料の収集・提供が法的に認められた。(資料3、P71)
 情報資源の電子化によって、コンピュータを通じて必要な情報や資料を検索し、利用することができる電子図書館が存在し、具体例として、著作権の切れた作品などのテキストを公開している「青空文庫」がある。
 
2 公共図書館が提供しているネットワーク情報資源の事例や特徴
 2009年の著作権法第31条第2項新設により、国立国会図書館が所蔵する資料を保存する目的でのデジタル化が可能となった。デジタル化した資料は、国立国会図書館デジタルコレクションで確認することができ、その一部は申請することで閲覧、あるいは公衆送信権などの法律により制限の掛かっている資料は公共図書館内でのみ閲覧が可能となっている。
 具体的な事例として、東京都千代田区の区立千代田図書館を挙げる。この館では2007年11月に「千代田Web図書館」を開始した。「千代田Web図書館」では、非来館型サービスとして、インターネット上で貸出・閲覧できる電子書籍の貸出サービスを実施した。当初、学習系や語学学習用のオーディオブックなど約4000タイトルを提供していた。この資料は貸出期限が過ぎるとパソコン上からデータが自動的に消滅するようになっている。
 和歌山県有田川町立図書館では「クラウド電子図書館サービス」を開始し、iPadで利用可能とした。クラウドとは正確に定義することは困難だが簡略化するならば、自身が所持している端末ではなく、インターネットを通じてデータやプログラムを保存したりアクセスしたりすること、と言える。この場合の自身とは図書館を指し、サーバ設備と電子書籍などのデータを図書館が持たず、クラウドを提供しているプロバイダが保有する資源を用いて、自館の図書館サービスを提供する形態を「クラウド電子図書館サービス」と言う。(資料2、P86)
 他にも各図書館で資料は電子化されている。東京都立図書館や京都府立図書館の貴重資料データベースや、岡山県長崎県などの郷土資料の公開など、各館で様々なサービスが提供されている。(資料1、P84)
 
3 今後の収集の在り方や課題
 図書館は情報資源を収集し、整理し、保存し、利用者に提供することにより、国民の知る自由を保障する機関として、社会的な役割を担っている。図書館の自由に関する宣言の主文では、図書館は資料収集の自由を有するとある。公共図書館では、住民のあらゆる資料要求に応える責任と市区町村の資料センターとしての役割を果たすため、すべての主題分野を包括し図書や雑誌、新聞等の伝統的資料以外にも視聴覚資料やネットワーク資源などの多様な資料、また県内の地域資料のほか国内外の資料を幅広く収集していく必要がある。その中で地域図書館では、地域社会や住民のニーズを反映する必要がある。特に日常の問題解決に役立つ資料や教養書、実用書、また児童図書等を豊富にそろえる必要がある。こういったことを踏まえて、図書館側は収集方針を決めなければならない。収集方針は個々の職員の恣意によって構成されてはならず、館長や担当職員が交代したからといって、内容に大きな変更があってはならない。確りと成文化され、その方針に従って収集していくべきである。しかし、その方針が誤りである場合、あるいは時間の経過とともにニーズが変化することも十分にあり得る為、定期的に会議を行い、選書リストを作成し、複数の人間の合議によって決める必要がある。
 さらにその中で電子資料は著作権に特別な注意を払う必要がある。同じ内容のコンテンツであっても、紙媒体とデジタル媒体では適用される法律が異なることがある為、安易な電子化は行うべきではないのである。
 図書館の存在意義の一つに生涯学習という考え方があり、それが時代の大きな変化に適応する為のものであるならば、電子化の進むいまは職員においても非常に大きな変化が起こっている。その変化に対応する為、職員も学習を進め、利用者の要求に応える努力を怠ってはいけないのである。

 

〈参考資料〉

日本図書館情報学会編 「図書館情報学用語辞典 第4版」
2 藤田岳久編著 「図書館情報資源概論」 学文社
3馬場俊明編著  「図書館情報資源概論」 日本図書館協会
4細野公男、長塚隆共著  「デジタル環境と図書館の未来」 日外アソシエーツ

 

 

図書館情報資源概論 (JLA図書館情報学テキストシリーズ 3-8)
 

 

 これはほとんど自分で考えずに、参考資料とテキストを自分なりに咀嚼して書きました。自分の中でレポート用にまとめた、という意味では自分で考えたとは言えますが。参考資料に具体例がたくさん載っていたのは非常に助かりました。