なりたてオジサン司書の日々葉々

30歳過ぎて脱サラからの司書になったオジサンの日記です。司書課程のレポートや、あとは趣味のアレコレを書いています

図書館制度・経営論レポート「図書館の組織の種類を挙げ、それぞれについて述べるとともに(中略)貴方自身の考え方を含め論じて下さい」

図書館制度・経営論「図書館の組織の種類を挙げ、それぞれについて述べるとともに、文科省の「図書館の設置及び運営上の望ましい基準(以下、望ましい基準)」と、望ましい基準の基本になった報告書『これからの図書館像』(文科省ホームページに公開)」を読み、利用者から見て、これからの図書館組織はどうあるべきか、貴方自身の考え方を含め論じて下さい」

 

1 図書館の組織の種類
(1)職能別組織
 図書館の職能、記録された知的文化財を収集し、組織し、保管し、提供するという図書館の働きの側面から部門化した組織をいう。総務や収書、整理、サービスなどの図書資料の流れに沿って分けられる。この組織は、日本国内の図書館組織としては最も多く、管理コストが安い、人材が少なくて済む、管理統制がやりやすいなどの長所がある。逆に専門家の育成がしにくいことや、利用者サービスが浅くなる等の短所が挙げられる。

 
(2)主題別組織
 この組織では、各主題部門の下で、職能別設計がなされる。それぞれの主題部門の中に、収書係、整理係、奉仕係などが設けられる。主題別組織を定義すると「図書館の資料を形態の如何を問わず主題によって部門化し、それぞれの部門が選定・収書・整理・閲覧・貸出・参考業務を一元的に処理する組織である」と言える。大学の学部図書館や企業の専門図書館でこの組織が見られることが多い。この組織では、特定の主題の担当となった図書館員が、深く関わることができる為、専門家としての育成がなされることが最大の長所として挙げられる。しかし、各主題部門毎にカウンターを用意したり、レファレンスツールを複数用意する必要があるなど、人材を多く必要とし、経費が多くかかるという短所がある。
 
(3)利用者別組織。
 この組織は利用者別に組織化を行う。図書館ごとに分ける場合もあるが、閲覧室のみを分ける場合もある。(大学と著間の場合、大学院閲覧室、教員閲覧室、学生閲覧室など)
 
(4)資料別組織
 資料別に組織化を図るもので、雑誌・新聞部門、逐次刊行物部門、参考図書部門、視聴覚資料部門、貴重書・古典籍部門、特殊資料部門、地方資料部門、言語資料部門、地域研究資料部門、マイクロ資料部門、電子資料部門等に分けられる。これにも、閲覧制度のみを分ける場合もある。
 
(5)混合組織
 前述四つの組織を組み合わせた組織を言い、大小はあれど、日本の図書館ではこの形態が多い。具体的には、職能別組織を中心としながらも、雑誌・新聞係や視聴覚係、マイクロ資料係、AV資料係が独立し、資料の選定・発注・受入・整理・提供までを一元的に処理する主題別組織の特徴を合わせたものや、閲覧部門のみ主題別や利用者別に区分する場合もある。理論的には存在していても、実際に運営するとなると様々な問題や齟齬が発生する為、一種の組織に縛られず、臨機応変に効果的に組み合わせて組織を構築する必要が必要になってくるため、最も現実的な組織であるとも言える。
 
2 これからの図書館組織
 地域の人々、図書館外の人々が図書館をどう見ているかを常に想定し、配慮する。これは図書館を外から見る事である。(薬袋秀樹、望ましい基準から見るこれからの図書館像、2014、P11)図書館のサービスは利用者中心が基本であり、図書館側も利用者へのサービスの向上に努めているが、やはりあくまで公共サービスの一環であり、民間企業のような貪欲さがない。民間企業は利益を上げることを目的の一つとしており、他社との競争に勝たなければ文字通り生き残ることができない。しかし、公共サービスである図書館は基本的には潰れる事は心配せず、他館との生存競争も行わない。それは全て否定されるものではないが、ある程度は民間企業経営の理念を参考にする必要はあるのではないだろうか。現在でも指定管理者制度の導入は進められているが、それだけではなく図書館の内部にもサービス向上や利用者数増加の為の部門を設置するべきではないだろうか。職能別組織としては奉仕課に属する事になると思われる。民間でマネジメントを経験した人材を取り入れるか、あるいは図書館員を研修に送るなどし、新たなサービス視点を得るべきである。
 また、デジタル環境に強い部門も必要である。昨今、世のほとんどのサービス業者はSNSを宣伝に用いている。図書館で新刊や司書が薦める資料や、イベントの告知など、HPだけでなく、自ら発信していく姿勢が必要である。多くの民間企業が行っているということはつまり、それだけ利用者あるいは潜在利用者は世の中の情報の多くをSNSから取り入れているからである。更にSNSでは利用者からのダイレクトな要望も期待でき、それは更なるサービス向上に繋がる。同時に、今後の図書館像として、電子書籍の取り扱いは必ず求められるものである。その為の知識を持った人材は必要不可欠になってくる。
 上記の引用でもあるように、図書館は利用者の視点に立ち、何が求められ、何をするべきかを想像するべきである。その為には、図書館組織に新たな部門を設置することも視野に入れるべきである。

〈参考文献〉 
「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」文部科学省www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/1282451.htm
薬袋秀樹「望ましい基準から見るこれからの図書館像.pdf」www.library.metro.tokyo.jp/Portals/0/zenkouto/pdf/260627siryo.pdf
細野公男・長塚隆共著「デジタル環境と図書館の未来」日外アソシエーツ 2016
手嶋孝典編著「図書館制度・経営論」第2版 学文社 2017

 

 

 

 図書館組織の種類はテキストを読んで、該当の項目を自分なりにまとめて書きました。まぁまぁそのまんまですけど。その上で、図書館はこうした方がいいと思うので、そのためにはこういう組織が必要である、と後半で論じています。実際、私が書いていることをやろうと思うとかなりの予算が掛かるのですが、そこはレポートなので、実現の可否は考えずに書きました。